私たちが手掛けているガラス彫刻工芸では平面のものをより立体的に見せるため作家が
日々研鑽し様々な技法をあみだしてます。立体的に見えると、そのものの世界観までつかみやすいですね。
学生時代の美術の授業では絵は遠近感を出すよう教えられ、その技法として遠くのものを小さく描き、色調では青系で手前を黄系にあわせるよう教えられてきました。浮世絵のような二元的になると、ここは小さく描いたほうがいいなどと指摘されたものです。そうすると絵が途端にうまく見えるのですよね。もちろん、視点が定まってそこから遠近感をだす必要はあります。視点が定まってない遠近感は逆に違和感が出て、それこそ異空間に入ったようになってしまいます(^_^)
ところが、色彩の魔術師であるアンリ・マティスは多くの素晴らしい絵とは全く逆の手法をとるのです。マティスは、印象派やフォービズム、キュビズムと様々な表現や内省的感情の表出(?と言ってよいものか)してきました。その中でとても印象的なのは、絵であるという枠にこだわった表現方法です。二面の中に表現するのだから三次元的に見えないものというこだわりでの手法をとります。
この「キヅタの花」は遠近感の手法を全く逆にしていることで平面的に見えます。もちろん、それだけの単純なものではないけれど、一般的な(と言っていいものかはわかりませんが)常識を簡単に覆しています。
平面の絵の中の表現と言う枠の中に捉われているようで実は一般的な常識からは外れている。枠の考え方もいろいろですね。考えるべきは、枠があることではなく、制限など何かに捉われているかどうかということなのかもしれません。制限に捉われるのでなく制限を活用する。これが自由の本質と感じずにはいられないのです。
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