日々ギフトのお仕事をしていると、その方の人間関係に少し触れることが多くなります。ギフトなので、往々にして内容はポジティブなものが多いです。もともと良好な関係だけでなく、例えば、関係が希薄になってきた中で「就任のお知らせをもらったのだけど、何を贈ったらよいのかわからない」とか「これを機に良いお付き合いをしたい」とか「遠方なので、何か記念になったり思いが伝わるようなものを贈りたい」とかです。
そんなご相談時に、頻繁に出てくる言葉が
「 満 足 す る 」
ギフトを受け取られる先様はもちろんのこと、贈る側も最終的には満足が必要になります
この「満足する」というのは文字通り『満ち足りる』もの。それに大きく感情がかかわってきます。物質的に満ち足りていても、心が満たされなければ、満足という言葉は出ないからです。
心が満たされるためにはたくさんのハードルがあります。
たった一つのミスが台無しにすることもあるけれど、小さな思いやりが心を満たしてくれることもあります。
満足しないものに、足るを知りなさいという言葉をかけるのを耳にすることがあります。「足るを知る」だけを辞書で引くと、ないものねだりせずにあるもので満足しなさいよ的な意味がほとんど。でも、満足というものは心が満たされなければ得られるものではないのですよね。足るを知るは老子の言葉の一部なのですが、本来はこんな意味ではなかったと思うのです。
知人者智、自知者明
勝人者有力、自勝者強
知足者富、強行者有志
不失其所者久 死而不亡者壽 by 老子
人を知る者は智、自ら知る者は明なり
人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し
足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り
その所を失わざる者は久し 死して而も亡びざる者は寿し
「足るを知る」が記されている原文と書き下し文です。この書き下し文を、いろいろ調べもって解釈してみました。(注:あくまで個人的な解釈です)
人を知るものは智慧(ちえ)があり、自分自身を知るものは智慧を超えた明(ものを見通す賢さ)がある。人に勝つものは力を持っているが、己に勝つものは本質的な強さを持っている。本質を知り有ることを知るものは真に豊かで、足ることを知ったうえで努力を続けるものは志を持っている。これを知り本質を見失わないものは長じ、たとえ死んでもその志は亡ばず、その志を引き継ぐ人も現れるかも。これが本当の意味での長寿ですね。
お客様を満足させることができるものは自分の中にあり(自知者明)、でもそれを最大限に発揮できるには、まずお客様をよく知ること(知人者智)。その経験が足るに値し、努力をし続けることが、このお仕事の使命につながっているってことなのだろうと理解しました。
人を知る者は智が始まり。ギフトをする人やその相手、その思いも含めて理解することから始まるのでしょうね
ご満足いただけるよう頑張ります
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